バッテリー上がりにご注意を

  出港前には必ず、バッテリー等の機関の点検を行いましょう。

海難の概要と対策

バッテリー障害 概要 原因
【7日午前、神戸港沖、プレジャーボート(4人乗船)】
 バッテリー電圧低下の警報が鳴ったことから機関停止し、現用バッテリーを外し、予備バッテリーに接続し直し、機関再始動を試みるも起動せず航行不能となった。
 巡視艇により、曳航救助された。
バッテリーの過放電使用。
予備を含めたバッテリーの液量減少による性能低下。
(バッテリー交換後、機関始動。)
【8日午後、和歌山港沖、プレジャーボート(2人乗船)】
 釣りを終え、帰港のため機関始動し、後進をかけたところ、機関が停止した。
 再起動を試みるも、起動せず救助要請。巡視艇により、曳航救助された。
バッテリーの過放電使用。
(バッテリー交換後、機関始動。)
【7日午後、高知県南岸、プレジャーボート(2人乗船)】
 錨を揚げるため、機関始動を試みるも始動せず、救助依頼した。
 水難救済会所属船により、曳航救助された。
バッテリー老朽化による性能不良。
(バッテリー交換後、機関始動。)
【8日午後、高知県南岸、プレジャーボート(3人乗船)】
 釣りを終え、帰港のため機関始動を試みるも、始動せず、救助依頼。
 水難救済会所属船により、曳航救助された。
バッテリーの過放電使用。
(充電後、機関始動。)
対策
○ 出港前点検(予備を含むバッテリーの液面、電圧等の確認、端子緩みの確認)の励行。
○ 機関停止時、電装品(GPS、魚探)の長時間使用を避ける。
○ 万が一に備え、予備バッテリーの用意。
○ バッテリーの耐用年数を考慮した早期交換。(耐用年数は、3〜5年が目安)

参考


  【太陽光発電装置】

 近年では、設置・接続が簡単な『ソーラーパネル』を利用した発電方法があります。

 普段、船に乗らずエンジンを回す機会が少なくバッテリーが十分充電出来ないといった方や、エンジンを停止して電装品(GPS、魚探等)を使用するといった方が補助的にソーラーパネルを使用しエンジン上がり防止の工夫をされているようです。

 しかしながら、天候等により発電状況が左右される場合もあるので、普段からのメンテナンス、出港前の点検を確実に実施し、バッテリー上がりの防止に努めましょう。


  【船舶用、自動車用バッテリーの違い】

  小型船舶に使用されているバッテリーは、ディープサイクルバッテリーという、充電〜放電を繰り返し使用できる構造になったものです。

 自動車用バッテリーは、一般的にバッテリー上がりを起こしてしまうと、バッテリー性能を著しく落としてしまうため、放電〜充電を繰り返しながら使用することには向いていません。

 また、船舶用バッテリーにもエンジン始動用のクラッキングバッテリーと電装品用バッテリーがあり、それぞれ特性が違います。

 船舶用バッテリーは自動車用バッテリーと比較すると高価であることが一般的ですが、用途に応じた使用をお勧めします。


  【バッテリーの寿命について】

 最近、長寿命を謳っているバッテリーもあり、またバッテリーの使用状況によっても寿命は変わるため一概には言えませんが、一般的には2〜5年と言われています。

 2年交換が理想的ですが、「エンジンがかかりにくい」・「バッテリー液の減少が早い」・「液面の高さにバラつきがある」・「頻繁に充電が必要になった」等の症状が現れた時がバッテリーの交換目安とされています。