来島海峡の自然環境
 2 霧
(1)来島海峡における霧の概要
  霧の発生は月別では3月〜7月の間に集中し、西口付近よりも備後灘方面に多く、概ね夜 半過ぎに発生し、日の出前4〜6時間の間が最も多く、午前11時頃までには消滅する傾向があります。継続時間は夏季は比較的短く、春季は6〜12時間またはそれ以上になります。来島海峡の霧は、複雑な地形及び海象の影響を受け短時間の間に局地的に発生し、馬島周辺 では、航路の極一部が視界50メートル以下となるものも多く発生します。
 
(2)霧発生のメカニズム
  霧は、海水温度が低いところに、暖かく湿った空気が流れ込み、その空気が海水に熱を奪われ冷やされることにより、空気中に含まれていた水蒸気が霧となって見えてくるものです。
海水は、暖まりにくく、気温より2ヶ月ほど遅れて上昇するため、瀬戸内海では、3月から7月に気温が水温より高くなり、この時期に霧が発生しやすくなります。

  例えば、前線が日本の南にあり、南から暖かく湿った空気が流れ込み、水温の低い瀬戸内海で冷やされて広い範囲に霧が発生します。

  特に、来島海峡のような狭いところでは霧が発生しやすく消えにくくなる傾向があります。
また、来島海峡は、湧昇流等の複雑な流れがあり、海水がかき混ぜられ、下層の冷たい水が上昇して表面を冷やすことから、海水温度は、燧灘より3〜4度低くなり、局所的な濃霧が発生しやすくなっています。

  瀬戸内海の霧は、概ね前線霧と晴霧とに分類されます。前線霧は、前線の雲から雨が降り、途中の冷たい層を通過するときに蒸発し、湿度が増すため霧が発生するものです。海水温度が低いほど、霧の発生しやすい条件が下層に整います。特に、海水温度が低くなる海峡では、濃い霧が長く続きやすくなります。

  前線霧の大きな特徴は、広範囲に発生すること、持続時間が長く、数日に亘ることがあることです。晴霧は、前日に雨が降って海面付近の湿度が高くなっているところに、夜間の放射冷却現象により冷やされて、湿った空気の上部に発生した層雲が、徐々に湿度を増し、垂れ下がっ て霧になるものです。晴霧は、海水温度が低いほど霧が濃くなる傾向にあります。
瀬戸内海の気温と水温