雄武・沙留編

  春先(3〜5月)の天気の良い日に、ひかた(西南西の風)と呼んで警戒する暴風があります。また、夏季〜秋季にも、台風や低気圧の通過に伴って猛威を振るうことがあります。このひかたが発生するのは南高北低の気圧配置で等圧線が東西に走るときで突然西南西の風が強くなり、時として20m/sに及ぶことがあります。ひかたは、南は沙留岬付近から北は音標岬付近まで及び、時として枝幸港付近まで及ぶこともあり、海上は12マイル付近までその影響が及ぶことがあるそうです。この時期当沸岳の頂上に白い綿雲が懸かるとひかたが吹くと地元ではいわれています。雄武の南南西方向に位置する当沸岳の北側を流れる雄武川とトーフツ川に沿って低地が続きこれが風の通り道となるためと推測されます。
 また、秋口、南西寄りの風で雨が降ると1〜2時間で東廻りのアイ風(北、北東の風)とタマ風(北西の風)に急変し時化になるといわれています。
 北見神威岬の方面までくっきり見えると、上(かみ)げの風と呼んでいる北西の風が吹き出してくることが多いそうです。低気圧が接近すると上昇気流が生じ下層の不純物が上空に運ばれるため視程は良くなるが北西から低気圧等が近づき北見神威岬の方面から北西の風が吹いてくるのだそうです。
 この漁期は前浜だけの操業で余り沖合までは出漁しないそうです。秋は紋別地方より宗谷地方の天気を参考とし、操業中にタマ風に遭遇したら直ちに操業を中止、上(かみ)げの風の時は、北西の風が吹くので出港しないようにしています。