第3章 安全航行のために

  2.自船の危機管理

1 連絡体制の確保
VHF CH16の聴守励行)

 
来島海峡海上交通センターでは、来島海峡航路を通航する全ての船舶に対して、衝突・乗揚げを避けるためなどに必要な情報を提供しています。(通航各船からの情報提供の要請にも応じています。)
 自船の安全運航のため、VHFを装備している船舶は、
航路に入る3時間前からレーダーサービスエリアを出域するまでの間、VHF CH16を必ず聴守しましょう。VHF CH13を装備している船舶はCH16と併せてCH13も必ず聴守しましょう。
 なお、VHFを装備していない船舶については、電話
(0898)31−9000で管制官と直接コンタクトが可能です。電話を連絡手段とする場合は、双方向の連絡手段として確立するため、位置通報を行って管制官へ貴船の電話番号を通知してください。
 来島海峡海上交通センターでは、
日本語及び英語で情報提供を行っています。航路通航時には、必ず、日本語又は英語を解する乗組員を船橋当直に配置願います。

2 見張りの強化

 
 来島海峡では、他船との複雑な進路交差が生じやすく、また、潮流影響によると思われる速力低下や圧流等により他船と急激に接近することがありますので、自船の前方だけでなく周囲の状況を常に把握できるように専従の見張り員を配置するなど見張りを強化しましょう。
3 海図等を備付ける
 
来島海峡を安全に航行するためには、海図等を備付け、地形、水深、航路標識を事前に把握しておきましょう。
 来島海峡を航行するために必要な海図等は次のとおりです。


第104号   来島海峡及付近


第132号   来島海峡


第H-308A 来島海峡海上交通情報

水道部誤認が多発しております。必ず、海図によりコース及び変針点の確認を!

4 狭視界航行時は細心の注意を
 毎年3月頃から7月頃にかけて濃霧が発生しています。複雑な地形、潮流等の影響を受け短時間の内に局地的に発生し、視界が50m以下となることもしばしばあります。
 狭視界時は航路航行船舶が迷走を始め、乗揚げや衝突の危険性が高くなります。船長自らが操船に当たるのはもちろんのこと、見張員を増強し、レーダーによる見張り、位置の確認を厳重にするほか、来島海峡海上交通センター等からの視界に関する情報を必ず入手しましょう。

(霧通報)
 視界が2000m以下となった場合、次の機関により情報(霧通報)を随時放送しています。
○ 海上保安庁通信所「ひろしまほあん」 F3E 156.6MHz(CH12)日本語、英語放送
○ NHK広島放送局第1放送 1.071kHz(日本語)
   NHK岡山放送局第1放送  603kHz(日本語)
   NHK山口放送局第1放送  675kHz(日本語)
   NHK松山放送局第1放送  963kHz(日本語) 
○ 中国放送広島放送局    1.350kHz(日本語)
   中国放送福山放送局    1.530kHz(日本語)


 視界が500m以下となった場合は、できる限り避泊し天候の回復を待つなど、海難防止に十分注意してください。特に、濃霧の発生により海難が多発した場合又は多発するおそれがある場合は、船舶に対して航路の外で待機するよう指示する場合がありますので、来島海峡海上交通センター等の指示に従ってください。

5 自動操舵装置は使用しない
 来島海峡は、航路が屈曲し、潮流も強く複雑な海域となっています。このため、他の船舶との複雑な見会い関係の回避や、潮流の影響によるきめ細かな操舵が必要となりますので、自動操舵装置は使用しないようにしましょう。

6 機関の整備と点検の励行
 最近、来島海峡、安芸灘、燧灘で機関故障や舵故障が発生する船舶が見うけられます。来島海峡周辺では、年間10件以上にのぼっています。
 航路が屈曲し、潮流が強く複雑な海域では、この種のトラブルは直ちに衝突、乗揚げ海難の発生につながる可能性が高いので、常に機関及び舵の整備と点検を励行しましょう。

7 灯浮標への衝突防止

 最近、船舶接触により灯浮標が損壊や沈没するという被害が連続して発生し、航行安全上深刻な事態となっています。航行船舶は、見張りの励行や気象・海象などの状況判断を的確に行って、必要以上に灯浮標へ接近することのないよう安全航行に努めて下さい。もし、誤まって灯浮標に衝突したり、損壊を発見した場合は、最寄りの海上保安部又は来島海峡海上交通センターへ連絡をお願いします。