Swimming

遊泳の安全対策について、より詳しく知りたい方へ

1 溺水の定義

  • 海上保安庁では、海難調査において溺水を「海で溺れた場合」としており、具体的には海水の誤飲、誤嚥(ごえん)、足が攣(つ)る等により、正常な動作が出来なくなった場合を「海で溺れた」と判断しています。
  • WHO(世界保健機関)では、溺水を「沈水/浸漬により呼吸障害をきたすプロセス」と定義しています。
  • 水死・溺死の原因についての資料は⇒コチラ((独)日本スポーツ振興センターHPにリンクしています。)

2 溺水の発生場所

  • 水の事故は川や海だけではなく、身の回りの様々な場所で発生します。国内では浴槽における水の事故が多数発生しています。((一社)水難学会指導員養成講習会テキスト参照)

3 溺水のメカニズム

  • 溺水の過程を段階に分けていくと、一般的には次のような段階を経て、最悪の場合には死に至ります。
    ((一社)水難学会指導員養成講習会テキスト参照)
     ①パニック
     ②呼吸停止
     ③意識障害
     ④痙攣(けいれん)
     ⑤心停止
     
    1. パニック
       パニックの段階では、溺者は危険を察知して恐怖を感じます。瞬間的に体の動きがとまり、足が水底に届かない水の中では溺者は体位を垂直にして沈みます。十分な泳力がなければ、水面に再び出ることはありません。
    2. 呼吸停止
       呼吸停止の段階は、水が溺者の口や鼻に入り込み一部が肺までの空気の通り道(気道)に向かい、それをきっかけにして溺者は肺に酸素を取り入れることができなくなり、意識を徐々に失います。これが意識障害の段階です。喉頭蓋が気道をふさぐこともあるとされています。
    3. 意識障害
       意識障害の段階では、溺者の動きはほぼ止まります。呼吸に伴う旨の動きや呼吸音を感じることができません。意識を完全に消失すると溺者の体は沈んでいきます。水没の速度は、溺者の中に溜まっている空気の量、体重及び筋肉の重さによって異なります。例えば没水の直前に「助けて!」と声を出せば、肺の空気を吐き出すことになり、より速く没水していきます。なお溺者の意識は呼吸及び循環機能が回復するまで戻りません。
    4. 痙攣(けいれん)
       呼吸ができないと脳への酸素の供給が立たれることになり、痙攣を始めることがあります。また低酸素状態になることで、ヘモグロビンが鮮紅色を失い、溺者の唇や爪などが青紫色に見えるチアノーゼを呈するようになります。口から泡を出すこともあります。
    5. 心停止
       溺者は溺水の最終段階としてやがて心停止を迎えます。呼吸のできない状態が続くと数分以内に心臓が停止します。体内の臓器は酸素を十分含んだ血液を受け取ることができなくなり、死に至ります。

4 低体温症(ハイポサーミア)について

  • 低体温症とは、全身が長時間寒冷環境にさらされ、低体温(35℃以下)になった状態をいいます。寒中水泳や寒冷水域でのマリンスポーツでは特に注意が必要です。また、濡れた衣服を着たままにしておくと急激に体温を奪われます。そのほか、意識障害をきたしている場合、過度の飲酒、甲状腺など内分泌の疾患がある場合等も低体温症となりやすく、特に乳児や高齢者は体温調節が未熟であったり、衰えていたりするため、低体温になりやすいので注意が必要です。

症状

  • はじめ、全身に悪寒を感じ、震えが始まり、深部体温が32℃以下になると、震えは逆に弱くなってきます。活動性も低下し、意識障害などが起こります。30℃以下になると、徐脈となり、不整脈を起しやすくなります。最も危険なのは心室細動です。
    (引用:(公財)日本ライフセービング協会資料)

5 離岸流(リップカレント)の見分け方や対処法

6 リーフカレントとは

  • リーフカレントとは、珊瑚礁内において発生する、離岸流と似た独特の流れを言います。
  • リーフカレントの詳しい情報については⇒こちら(第十一管区海上保安本部HPにリンクしています。)

画像提供:(公財)日本ライフセービング協会

7 セルフレスキューとは

  • 没水のメカニズム
     ヒトの体の比重は、状態によって1より大きくなったり、小さくなったりします。平均でみれば吸気では0.98程度、呼気で1.03程度です。したがって空気を吸い込んでいれば真水に浮くし、吐けば沈むことになります。
     上半身には肺があるため比重が軽く、下半身は筋肉のために重くなっています。そのため気をつけの姿勢で水平に水面で浮こうとしても足が沈みます。しばらくすると垂直の姿勢になり、図1(a)のように空気を吸い込んでいれば体の98%が沈んで2%が水面上にでます。
     図1(b)のように溺者が助けを呼ぶために手を挙げると、腕が水面上に出すことのできる2%を担ってしまうのでその分だけ体は沈みます。さらに図1(C)のように「助けて」と声を出せば肺の空気がなくなり比重は1を超えて、ますます沈みます。つまり溺者が静かに沈むというのは、体を垂直にして、手を挙げて、声を出して助けを呼ぼうとしたときに起こる現象なのです。
     没水から逃れるためには、水面で背浮きを行い、声を出さないことが肝要です。

図1(a)空気を吸っていると、頭の先端だけが水面にでる、(b)助けを求め手を挙げれば手だけが水面にでる、(c)空気を吐き出すと体は沈み始める

  • 背浮き
     足が届かないところでは、浮いて救助を待ちます。ここでは足が届かないところでの実技として、背中を下にする浮き方である背浮きについて説明します。
     比重を考えれば、ヒトの体は工夫することによって水に浮きます。図2に示すように、(a)気をつけの姿勢では、足から沈みますが、空気を吸って(b)手を水面と平行に頭上まで移動して伸ばすか、(c)水に浮く靴を履いていれば、重心と浮力の中心とが一致し、水面上でバランスを取りながら浮くことができます。着衣状態では衣類の間に溜まった空気の効果も加わり、より浮きやすくなります。(c)を背浮きの基本姿勢と呼びます。

図2(a)気をつけの姿勢では、足から沈む、(b)手を挙げればバランスがとれて水面で浮くことができる、(c)水に浮く靴(赤)をはいていると、気をつけの姿勢でもバランスが取れる