横須賀港の起源は、1865年(慶応元年)の横須賀製鉄所設立によると示され、
140年あまりもの歴史を有する重要港湾です。
港湾区域面積は 55,263,200uで、長浦地区、新港地区、平成地区、久里浜地区の
各公共埠頭の他、本港地区には米海軍横須賀基地及び海上自衛隊施設が、追浜地区
には自動車専用船岸壁、深浦及び浦賀地区にはマリーナなどのプレジャーボート係留
施設があります。
また、港湾区域内には東京湾唯一の自然島「猿島」が浮かび、港湾区域のすぐ外側
には浦賀水道航路が開けていて、港湾に隣接された数多くの公園からは、多種多様の
船舶を色々なロケーションとともに眺めることができる港です。
港湾管理者は横須賀市、横須賀港長は横須賀海上保安部長が兼務しています。
横須賀港出入港時における注意事項
1 追浜・深浦・長浦地区
(1)
東北防波堤について
東北防波堤は、海水面からの高さが低く、部分的に海水面よりも没して
いるところがあります。防波堤が分割されているように見えることが
ありますが、航行はできませんので、必ず東北防波堤東灯台(赤灯台)の
南側を通航する必要があります。
(2) 西日がまぶしい
冬季夕方の入港時、沈む太陽がちょうど港の上に位置し、非常にまぶしい
ことがあります。他船の動静に十分留意し、見張り励行に努めましょう。
(3) 深浦地区にはプレジャーボート施設あり
長浦地区への出入港に気をとられていると、深浦地区から現れる船舶の
発見に遅れてしまいます。深浦地区にはプレジャーボート施設(深浦ボート
パーク)があり、ヨットの出入りもありますので、気をつけましょう。
(4) 長浦地区には、海上自衛隊艦船及び海上保安庁巡視船艇基地の他、
公共埠頭には巨大なクレーン船や砂利運搬船、そしてタグボートの
出入りも多いので、シーマンシップが試されます。
(5) 荒天時における混雑について
台風接近などの荒天時に避泊船舶数が多くなり、可航幅が狭くなることが
あります。避泊船にあっては、走錨防止対策を万全にするとともに、情報伝達の
ため、国際VHF16チャンネルの継続聴取をお願いします。
2 本港地区
本港地区の多くを米海軍横須賀基地が占めています。
立入禁止区域(日米安全保障条約に基づく制限水域)の指定がありますので、
船位を確認の上、区域には近寄らないで航行するよう心がけてください。
3 新港地区
(1) 季節風に注意が必要
一般に横須賀港は天然の良港と言われますが、新港は違います。
特に冬季の強い北北東の風が吹いている時には、圧流の注意が必要です。
(2) 港内の小型船に注意
入港時、右舷前方に位置する西防波堤の影で、小型のプレジャーボートなどが
釣りをしていることがあり、これら小型船の動静に十分な注意が必要です。
(3) 強制水先区について
新港1〜4号岸壁は東京湾区の強制水先区、
新港1〜3号桟橋は横須賀区の強制水先区となっています。
4 平成地区
(1) 漁船の出入港について
平成地区の東側には、横須賀市東部漁業協同組合の船だまりがあり、
時間帯により一斉に多数漁船が出入港することがあります。
(2) 猿島周辺は危険がいっぱい
通常、平成地区への入港は新港地区と同様、横須賀港南航路を
通航しますが、航路を外れ猿島側に接近すると、多くの暗礁、浅瀬、
漁具に遭遇します。
猿島の東側を航行する場合も同様な状況なことから、浅瀬及び漁具
などの位置を事前に確認し、航行中は船位確認が不可欠です。
また地元漁船の往来も数多いことから、十分な注意が必要な海域です。
5 浦賀地区
入港するに当たり、可航幅が狭く変針が必要であると同時に、港入口に
位置するマリーナ(北岸:サニーサイドマリーナウラガ、南岸:マリーナヴェラシス)
及び、港奥のプレジャーボート施設(浦賀ボートパーク)からのプレジャーボート
及びヨットの動静に注意が必要です。
また、砂利運搬船が西浦賀岸壁へ着岸する際には、さらに可航幅が狭く
なります。
6 久里浜地区
(1) 東京湾フェリーの航行について
久里浜港と金谷港間を、3,500d級のフェリーボートが一時間に2回
程度、航行しています。
(2) タグボート及びタンカーの出入りについて
久里浜地区には、多くのタグボートが頻繁に出入りするとともに、横須賀
火力発電所専用岸壁には原油を積んだタンカーが入港します。
(3) プレジャーボートや遊漁船も出港します
久里浜地区にはマリーナ(協立マリンボートパーク)等がありますが、平作川に係留
しているプレジャーボート及び遊漁船も多く出港しますので、その数は予想
以上です。各船とも他船の動静に留意が必要です。
(4)
東京湾区の強制水先区となっています。
(5)
海獺島(あしかじま)周辺の浅瀬について
久里浜港口に位置する海獺島と笠島灯浮標の間には暗礁があることから、
この間の航行は止めましょう。
また、海獺島周辺は浅瀬となっていますので、事前に水深、潮汐など確認し、
安全航行に心がけましょう。
7 その他
(1)検疫錨地について
横須賀港の検疫錨地は、第4区に位置しています。
(2)危険物積載船の錨地について
危険物積載船が錨泊できる区域は、第4区のみです。
(3)
手漕ぎボート、ミニボートに乗られる方々へ
馬堀海岸〜走水〜観音埼〜鴨居〜浦賀〜久里浜の沿岸で手漕ぎボート、ミニ
ボートに乗られる方は、沖合いに出ないようにしてください。
これらの海域は、潮の流れが速く、風のとおり道となっていて、沖に出ると
急に風が強くなる特徴があり、とても危険です。
さらに、浦賀水道航路の航行義務のない船舶が多く航行するので、航走波にも
注意が必要です。
また、この海域を通航する船舶の方々は、手漕ぎボート、ミニボートの動静に
十分な注意をお願います。
(4)
浦賀水道航路に入航または、横断する船舶の方々へ
横須賀港出港後、浦賀水道航路に入航または、横断する場合には、安全な船間
距離を保つことを心がけてください。
また、国際VHF16チャンネルを聴取し、必要あれば、周囲の船舶或いは、
東京湾海上交通センター(とうきょうまーちす)と通信設定するよう、お願い
します。
(5)行先信号の掲揚等について
横須賀港を出港し、中ノ瀬航路経由で東京湾奥へ向かう場合、行先信号の
掲揚(夜間においては汽笛吹鳴)が必要です。
掲揚等位置は「イ線(aライン)」通過後、港域線に達したときです。
(ア)
横須賀→浦賀水道航路(横断を含む)→中ノ瀬航路→富津・君津方面へ
向かう場合(中ノ瀬航路4号灯標通過後に航路アウトしなければなりません)
掲揚旗:第1代表旗 + N旗 + S旗
(イ) 横須賀→浦賀水道航路(横断を含む)→中ノ瀬航路→東京・千葉方面へ
向かう場合
掲揚旗:第2代表旗 + N旗 + S旗
(ウ)
横須賀→浦賀水道航路(横断を含む)→中ノ瀬航路→鶴見航路方面へ
向かう場合
掲揚旗:第2代表旗 + N旗 + P旗
(エ)
横須賀→浦賀水道航路(横断を含む)→中ノ瀬航路→扇島・川崎航路方面へ
向かう場合
掲揚旗:第2代表旗 + N旗