海釣りで注意すべき気象
1 春の嵐と海釣りの注意
春一番
春先に、日本海を通過する低気圧が急速に発達し、日本各地で南寄りの強い風が吹き荒れ、海上は大時化となる現象を言います。
台湾低気圧(台湾坊主)
冬型の気圧配置が弛み、穏やかな晴天となっているときに、台湾付近で発生する低気圧のことを言います。
この低気圧は、急速に発達し、12時間後には西日本の太平洋沿岸にまで達し、海は大荒れとなります。
台湾低気圧の恐ろしさは、強風が急に吹き出すことで、低気圧の東側や北側に当たる地域では、特に注意を要します。
補足説明
発達する低気圧は、前線を伴い、寒冷前線の通過時には、風向きが急に変わり、突風、雷、場所によっては竜巻が発生します。
春釣りの注意
- 春先は、天気が急変しやすい。春の海は、穏やかそうな日が多いだけに油断もしやすい。天気図を見て、海が荒れそうな日は釣り行を中止し、海の荒れが収まるのを確かめてから出発するようにしましょう。
- 釣りをしながら、南風が強まらないか、沖合いに白波が多くなっていないか気を配りましょう。風や波に弱い磯に渡礁しているときは、海が荒れそうな兆候を認めたら、早目に釣りを中止し、安全なところに避難しましょう。
2 初夏の気象と海釣りの注意
二つ玉低気圧
二つ玉低気圧は、日本海側にある低気圧の、副低気圧が四国沖に発生したもので、両方の低気圧が日本列島を挟むようにして東進し、全国的に荒れ模様の天気となります。
この天気の型には、日本海低気圧型と南岸低気圧型があり、日本海の低気圧が主役のときは、強い風に特徴があり、太平洋沿岸の低気圧が主役のときは、雨量の多さに特徴があります。
3 秋の気象と海釣りの注意
秋の長雨と台風
秋の長雨は、九月中旬から十月中旬まで続きますが、この時季は、大型台風が、日本に接近し通過します。
台風が、秋雨前線を刺激して大雨を降らせたり、海岸では土用波(大波)が発生したりします。
補足説明
- 台風が、フィリピン東方の北緯20度線より北方に進むと、太平洋沿岸では、台風による周期の長いうねりが現れます。
- 台風は、右半円の方が、左半円より大荒れとなります。海上では、台風の右後半円の中心に近いところが最も大荒れとなります。
4 晩秋から初冬の気象と海釣りの注意
- 晩秋から初冬の釣りは、冬型の気圧配置が弛み、次に移動性高気圧が現れるまでの間に計画するのがよいでしょう。
- 強い季節風が吹いている時は、風裏となる風の弱い波静かな入江や島影を探せば、釣りをすることもできます。
5 冬季の気象と海釣りの注意
西高東低
大陸の高気圧が張り出し、冬型の西高東低の気圧配置になると、季節風は、陸上で10〜15m/s(風力6)、海上で15〜20m/s(風力7〜8)の強風が連吹し、海は大時化となります。
冬の釣り日和
- 晴れた冬空を見上げると、明日は風が収まり、いい釣り日和になると考えがちです。しかし、翌日になると、風が弱いのは朝のうちだけで、昼間は決まって風が強くなるものです。
- 冬の寒さ、季節風の強さにも、周期があります。冬型が弛み風も収まると、格好の釣り日和となります。
冬の大時化の中、釣りを行う人々