潮位の急変「副振動」に注意!

 潮汐による潮の干満を「主振動」と呼ぶのに対して、各港湾が持っている固有の振動数で潮位が変動することを「副振動」と呼んでいます。

 長崎県などでは変動が大きく「網引(あびき)」と呼ばれている現象で、係留している船が流出したり沈没する被害が発生しています。 

 しかし、海には潮の満ち干があることを忘れないで下さい。干潮時に磯の先端まで歩いていき、時を忘れて釣りに興じていたら潮が満ちてきて帰れなくなったという事案が発生しています。



  ※平成21年2月、薩摩川内市で発生した副振動による被害状況(薩摩川内市上甑支所提供)


 主振動である潮汐が地球の自転に伴い約6時間毎に干満を繰り返すのに対して、副振動は各港湾固有の振動数に応じて、数分から数十分といった短い周期で振動するのが特徴で、その振幅はときに主振動より大きいこともあると言われています。

 外海からのうねりや気圧の微妙な変化による海面の変化が主な原因と考えられていますが、台風の高潮や津波のときにも発生して、それらの周期と固有振動数が近いときには共振して被害が拡大する可能性も指摘されています。いずれにしても発生を予測することは難しいようです。

 田辺湾の周期は40分ほどで、振幅は最大で60cmぐらいのものが発生しており、今までのところそれによる被害は報告されていませんが、文里港口などでは渦を巻く潮流が観測されています。芳養湾では周期が5分ほどで、振幅は最大で1mぐらいのものが発生しています。

 潮汐との相乗効果で急激かつ大きな潮位の変化も予想されますので、船舶や漁具等の流出、磯での孤立や海没に注意してください。
また、海底の冷水が数十m湧昇することもあるので、ダイビングや海水浴に際しては漂流や心臓麻痺、低体温症などへの注意が必要です。