海で遊ぶときの注意

1 まずは、海をよく知ろう。

浮力

   ・人間は、肺に空気が入っていれば基本的に水に浮き、肺に空気が入っていないと水に沈みます。
    肺に空気が入っている場合、最大で人体の約5%(淡水では最大約2%)が浮きます。

天気と潮の満ち引き等

   ・海に行く前に、あらかじめ天気や潮の満ち引き等を調べておきましょう。遊泳中、天気が悪くなると、強い風
    や落雷、高波による危険が増したり、海のそばでも波が打ち寄せ通ることができなくなる場所や、潮が引いて
    いるときには浅瀬でも、潮が満ちると歩いて帰れなくなる場所があります。
     ※潮汐推算のページは⇒コチラ(海上保安庁海洋情報部が提供する潮汐推算のページにリンクしています。)

【潮の満ち引きの影響により起きた事故】
  潮が引いているときに岩場に渡り、日光浴・遊泳をしていたところ、潮が満ちた状態となっていることに気づ
 いたものの、自力で戻ることができなくなり、118番通報したもの。

   ・海岸で吹く風には、オフショア(陸風)とオンショア(海風)の2つがあります。オフショアは陸から海へ、
    オンショアは海から陸へ吹く風のことです。昼間はオンショアになることが多いですが、気圧配置や地形によ
    ってはオフショアとなる場合もあります。オフショアが強いと、ビニールボートなどの乗り物が沖へ沖へと流
    され、岸に戻れなくなるので十分に気をつける必要があります。このように、水に浮いている物は思った以上
    に風の影響を受けやすく、ちょっとした隙に流されてしまう場合があることを知っておきましょう。

【強風の影響により起きた事故】
  小学生の児童が、波打ち際約2mのところで浮き輪に捕まり遊んでいたところ、父親が目を離した瞬間、沖合い
 約10mほど流されており、父親が泳いで追いかけたが、流れるスピードが速く追いつけなかったもの。児童は沖合
 い100mまで流されたところで救助艇により救助された。

離岸流

   ・沖に向かって発生する強い流れ「離岸流(りがんりゅう/リップカレント)」に注意しましょう。離岸流はと
    ても強い流れのため、一旦この流れに巻き込まれてしまうと、気がつかないうちに沖まで流されてしまい大変
    危険です(オリンピック選手のように泳ぎが得意な方でも、逆らって泳ぐことは難しいと言われています。)。

   ・離岸流は、幅が約10mから30mほどの狭い海域の流れです。沖に流された場合は、落ち着いて海岸と平行に泳
    いで離岸流から脱出しましょう。ムリに泳がず浮いて救助を待つことも有効です(浮いて待て)。



戻り流れ

   ・下図のように、波打ち際が凹凸の地形(カスプ地形といいます。)の海岸は、陸上に遡上(さかのぼ
    っていくこと。)した波が海に戻ろうとする際に強い流れ「戻り流れ」が発生する場合があります。
    波が高いときは海に近づかないようにしましょう。





カスプ地形(上空写真)


地形、波や潮の流れの変化

   ・海では、急に深くなる場所や、潮の満ち引きによって流れが速くなる場所があります。足が着かなか
    ったり、帰れなくなったりしてあわてることのないように、自分の泳いでいる地形を知っておきまし
    ょう。また、波や潮の流れは常に変化しています。海の状況の変化を常によく観察しておきましょう。


2 いつ、どこで泳ぐべきか。


   ・海で泳ぐ場合は、監視員やライフセーバーが常にいる海水浴場などの管理された場所で泳ぐようにし
    ましょう。
     ※全国の海水浴場のデータは⇒コチラ(海上保安庁交通部が提供する海の安全情報「全国マリンレ
      ジャー施設情報」からご覧いただけます。)

   ・海では、すぐに救助が来てくれるとは限りません。自ら自分の命を守ること(セルフレスキュー)が
    できる場所や時間帯を選んで泳ぎましょう。管理された海水浴場では、赤と黄色の旗を2本1組で波
    打ち際に設置し、旗と旗の間が1つの遊泳区域であることが示されていたり、遊泳区域がネット等で
    囲われています。



エリアフラッグ


   ・遊泳区域外で泳ぐと、水上オートバイやプレジャーボート等と衝突し、重大な事故に繋がる場合もあり
    ますので、必ず遊泳区域内で泳ぐようにしましょう。

【遊泳者と水上オートバイが衝突した事故】
  海岸から沖合い10m〜15mで遊泳していた男性が、遊走していた水上オートバイと衝突したもの。男性は
 頭に裂傷を負い、救急搬送された。
   ・管理された海水浴場でも、天候不良などにより遊泳禁止になっている場合は、泳いではいけません。
    管理者の指示やその日の遊泳条件を青・黄・赤の3色で海浜利用者に知らせるための旗(遊泳条件フ
    ラッグ)に従いましょう。



遊泳条件フラッグ


   ・津波の発生が予想される場合、海水浴場では、自治体による防災無線や海水浴場管理者・ライフセー
    バーなどによる情報の周知とともに、場所によっては、「U旗」やオレンジフラッグの掲揚(下図参照
    )などで、緊急事態であることが知らされます。津波避難用標識などに従い、落ち着いて、避難経路に
    沿ってすみやかに避難するようにしましょう。


緊急であることを知らせる目印例




国際ライフセービング連盟(ILS)では、緊急避難時の旗として、国際信号旗の「U旗」と同じ赤白の旗を推奨





津波が来ていることを知らせるオレンジフラッグ





津波避難用標識の例


【参考:川の場合】
 ・川での遊泳は基本的に自由とされていますが、地方自治体等により遊泳が禁止されている場所
  がありますので、地方自治体等から情報を入手して、安全な場所で泳ぐようにしましょう。川
  の遊び場については⇒コチラ((公財)河川財団 子どもの水辺サポートセンターが発行してい
  る「水辺の安全ハンドブック」にリンクしています。)

3 海にいる生物の中には、危険なものも。

   ・海には、クラゲやエイなど、危険な海洋生物がたくさんいます。これらの危険生物に刺されたり
    した場合は、すぐに海から出て、病院などの医療機関に行きましょう。

主な危険な海洋生物

   ・沿岸部:クラゲ、カツオノエボシ、サメなど

   ・岩場や珊瑚礁:ヒョウモンダコ、ガンガゼ、ミノカサゴ類、ウツボ類、イソギンチャク、オニヒ
    トデ、ラッパウニ、アンボイナ等イモガイ類、珊瑚類など

   ・砂地:ウミケムシ、エイ、オニオコゼなど

   ・岩礁や防波堤付近:ゴンズイなど

   ・水中:ウミヘビなど




ヒョウモンダコ              クラゲ


   ・危険な海洋生物は、地域や季節によって生息分布が異なります。詳しくは都道府県等の情報を確認
    しましょう。
    (例として、沖縄県においては、「気をつけよう!!海のキケン生物」として、関連情報がHPに
     掲載されています⇒リンク


4 お酒を飲んだら泳がない。

   ・人はお酒(アルコール)が体内に入ると、判断力や集中力(注意力)の低下や、運動能力の低下
    などが引き起こされ、本来の泳力が低下し、溺れやすくなります。

   ・お酒を飲んだ状態で海に入ることは、溺れやすくなるとともに、溺れたときの死亡率も高くなり
    ます。お酒を飲んだら海に入らないことを徹底しましょう。

   ・仲間どうし、お酒を飲んで泳ごうとする人に注意するなど、お互いに気をつけるようにしましょ
    う。

   ・(一財)日本ライフセービング協会の「飲んだら泳がない」キャンペーンについては⇒コチラ
    (日本ライフセービング協会HPにリンクしています。)

5 子どもから目を離さない。


   ・子どもは危険が近づいていても察知する事ができません。思いがけず小さな波でも足をすくわれ、
    溺れる事がありますので、保護者の方は、常に子どもから目を離さないようにしましょう。また、
    ライフジャケットを着ていると安心です。

   ・ひとりで遊泳することは避けるようにしましょう。特に低学年の児童には保護者が必ずつきそいま
    しょう。

   ・水辺に子どもが一人でいるのを見かけたら、大人が注意するようにしましょう。

   ・波打ち際でも、子どもが波にさらわれ沖に流される事故が発生しています。海に入っていなくても
    油断は禁物です。

【子どもから目を離したために起きた事故】
 ・家族で海水浴に来て遊泳していた子ども2人が、保護者が荷物の準備をしていた際に沖
  に流されたもの。一人の男児は子供用救命胴衣を着用しており、もうひとりの男児はそ
  の救命胴衣をつかんでいました。子どもが沖に流されたことに気づいた保護者は、海水
  浴場の監視員に救助を依頼し、2人は救助されました。
   ・消費者庁の「子どもを事故から守る!プロジェクト」については
     ⇒コチラ(消費者庁HPにリンクしています。)


6 自分の体調には素直に耳をかたむけて。


   ・自分の体調を把握し、疲労や睡眠不足を感じたら海に入らないようにし
    ましょう。

   ・海に入る前に、ストレッチ等の準備運動を行いましょう。

   ・寒さを感じたときや、ふるえがとまらないときは、低体温症(ハイポサ
    ーミア)の初期症状の可能性があります。低体温症が進むと、活動性が
    低下し、溺れやすくなりますので、早めに陸に上がりましょう。

   ・熱中症予防のためにこまめな水分補給や塩分補給を心がけ、直射日光に
    長時間当たり過ぎないように注意しましょう。

7 海水浴場に持っていくもの。


   ・自分の泳力や遊泳する海域の状況などを考慮し、必要に応じてライフジャケットや浮力体の
    使用も検討しましょう。

   ・ライフジャケットを着るときには、その用途や使用する海域によってタイプが異なりますの
    で、適切なものを正しく着ましょう。




ライフジャケット


海水浴の際には、基本的な装備品として以下の持ち物を持っておくと安心です。


   ○サンゴ礁や岩場におけるケガ防止や、危険な海洋生物から身を守るためには、ウェットスー
    ツやマリンシューズが有効です。ウェットスーツには体温の低下を防止する効果もあります。
   ○日焼け防止のためには、ラッシュガードやサーフハットが有効です。「ネオプレーン(ゴム)
    入りラッシュガード」であれば、体温の低下を防止する効果もあります。
   ○熱中症予防のために、飲料水やスポーツドリンクを用意し、こまめな水分補給・塩分補給を心
    がけましょう。
   ○非常時の連絡用として、スマートフォンや携帯電話も忘れないようにしましょう。


   画像提供:(一財)日本ライフセービング協会、(一社)水難学会、(一社)防災ガール、
        (一社)日本標識工業会、株式会社モンベル