CANOE

カヌーの種類と各部名称

 手漕ぎのカヌーには、使用するパドル(櫂)によって違いが見られます。シングルパドル(単刃の櫂)で漕ぐカヌーには「カナディアンカヌー」や「アウトリガーカヌー」等があります。また、ダブルパドル(双刃の櫂)を使うカヌーを全般的に「カヤック」と呼びます。
 そのカヤックにも使用するフィールドの違いによって種類があり、シーカヤック、リバーカヤック、シットオン(トップ)カヤック、フォールディングカヤック、インフレータブルカヤック等があります。
 ここでは海というフィールドで主に使われるシーカヤックとシットオン(トップ)カヤックについて説明します。

カヌーの種類別フロー図

カヌーの種類別フロー図

1 シーカヤック

 シーカヤックは、耐航性のあるツーリング用のカヤックです。耐航性とは、「航海に適した性能を持つ」という意味で、英語ではSeaworthyやSeaworthinessと表現されます。
 目的地を目指すために保針性が高く、波や風の影響を極力受けないようデザインされており、保針性をさらに高めるためのラダー(舵)やスケグ(保針板)を装備するシーカヤックもあります。
 前後には水密の荷室とハッチが設けられており、転覆しても沈まない構造になっています。積載量はかなり多く、1週間程度の食料やキャンプ(野営)道具を積み込むことができ、その重さによってシーカヤックが沈み込み、波の中でも安定するようデザインされています。

シーカヤックの各部名称

シーカヤックの各部名称

参考資料:シーカヤック教書(海文堂)

2 シットオン(トップ)カヤック

 シットオン(トップ)カヤックは、デッキの上に座るタイプのカヤックです。デッキ上に着座するのでシットオンという呼び方になりました。
 外観上は分厚いボード(板)のカヤックであり、浮力を得るために中空構造になっている点が特徴です。素材はほとんどがポリエチレン製で作られており、この素材の特徴によって発案されたカヤックといえます。
 ダイビング用カヤックとして開発された経緯があり、自ら漕いでダイビングポイントまで行き、ボンベを装着して飛び込みます。そのため、ボンベを置く窪みも成形されています。
 この構造を活用し、穏やかな沿岸での短いツーリングにも使用されるようになり、次第に温暖な海岸リゾート地などのレンタル用カヤックとして世界的な拡がりを見せました。
 今ではフィッシング(釣り)用のカヤックとしても認識されていますが、転覆しにくい構造がゆえに転覆すると再乗艇が難しくなります。
 シットオン(トップ)カヤックへの再乗艇は、意外に難しいものです。シーカヤックとは違い幅が広いため復原するにはコツが必要であり、再乗艇できずに転覆したまま漂流する事故が多く発生しています。

シットオン(トップ)カヤックの各部名称

シットオン(トップ)カヤックの各部名称

画像提供:(一社)日本セーフティカヌーイング協会(JSCA)