Canoe

気象・海象

 カヤックで航行する際に最も影響があるものは、気象・海象です。ここではそれぞれの現象と注意点・対処方法について、それぞれ説明します。

風と波の変化

 カヤックにとって、最も危険な状況は風の強さと、風によって生まれる波の高さが限界を超えることです。初心者にとって、風速5m/sを超える風は限界とされています。
 海上に出てから急に風が強くなることもあります。風の変化を敏感に感じ、風が強くなる前に陸へ戻ることが重要です。

風向の変化

 カヤックは岸から遠く離れて航行することは少ないため、岸沿いの風向を常に把握していることが必要です。日中の風は、海陸風の仕組みで海風(オンショア)であることが多く、海風時の海岸は風下の海岸(リーワードショア)となり、逆に陸風時の海岸は風上の海岸(ウインドワードショア)となります。風下の海岸では波が高くなる傾向があり、注意が必要です。

波高

 予報で表示される波高は平均であり、最大で予報の2倍の高さの波が発生する可能性がある点に十分に注意しましょう。

うねり

 風がないのに波がある「うねり」は、遠く離れた海域で起こった波が伝わって届いている波のことをいいます。
 うねりは波長が長く、水深がある沖合いでは大きな影響はありませんが、岸近くでは波のエネルギーが収束して崩れるようになります。カヤックの出艇や着岸をする際は脅威になるため、そのような場所は避けるようにしましょう。

風浪

 風浪はその海域で吹いている風によって起こる波のことです。波が不規則で頂点は尖り、強い風になると波頭が崩れ白波になります。初心者では白波が発生するような海象は危険なので、そのような状況下になる前に余裕を持って早めに帰航しましょう。

注意が必要な波の種類

  1. 磯波
     カヤックで特に注意が必要なのが磯波です。磯波は砕け波の一種で砕け波には波の峰が崩れる崩れ波と波が巻いてくる巻き波があります。磯波の波高は沖合の波高の2倍以上になることもあり、十分な注意が必要です。
  2. 三角波
     カヤックで注意が必要な波の代表といえば三角波です。
     三角波は成因によって種類があり、潮流が浅瀬や不規則な海底を流れる時や、二つの流れが干渉する時にも発生します。巨大な三角波は、カヤックを飛ばすほどの勢いがあることから、十分な注意が必要です。

【崩れ波の状況】

【巻き波の状況】

海の流れについて

 海の流れには潮流(タイダルカレント)と海流(オーシャンカレント)があり、カヤックを安全に楽しむためには、その区別も理解しておく必要があります。
 ここでは潮流と海流の違いについて、説明します。

潮流

 潮流は潮の満ち引きによって生じる流れです。
 潮の満ち引きは、月と太陽の引力によって起き、潮汐波(潮浪とも)と呼ばれる数千キロもの波長を持つ波により、満潮(高潮)が波の山、干潮(低潮)が波の谷にあたります。
 潮汐は干満のことで、通常、満潮と干潮は1日に2回ずつあり、潮流の流向も2回ずつ変わります。
 満潮に向かう時の流れを上げ潮流(満ち潮)といい、干潮に向かう時は下げ潮流(引き潮)で、流向が逆転します。上げ潮流から下げ潮流に変わる時は潮が一旦止まり、その時間を転流、停流、憩流等と呼びます。
 潮流が特に強い海域(瀬戸内海や九州西岸など)を航行する際は、充分な注意と強い流れに対応することができる技術が必要です。

潮汐表

海流

 海流とは大洋を流れる循環する流れです。日本沿岸では南から流れる暖流の黒潮(日本海流)、対馬海流、津軽海流、宗谷海流があります。  対馬や津軽、宗谷などのそれぞれの海流は、黒潮からの分流と考えられ、北から流れてくる寒流は親潮(千島海流)です。  黒潮は太平洋の北半球を時計回りに循環している流れであり、地球の自転の影響で、太平洋の西側の流れ(黒潮)は強く、流速は4ノット以上になることもあります。  黒潮に関する情報は、海上保安庁海洋情報部から海洋速報として「海流図」と「水温図」が毎日(土日祝日、年末年始を除く)発行されており、インターネットで確認できますので参考にしてください。
海流図
水温図

海浜流系

 砕波帯には波だけではなく流れもあります。
 以下の模式図のような流れがあり、特に離岸流(リップカレント)の存在があることを覚えておきましょう。