Personal Water Craft

転覆時の復原方法について

 水上オートバイは通常のモーターボートとは異なった運動特性を持っており、転覆することを前提に設計されていることから、転覆しても人の力で復原することができます。
 例え、転覆してしまった場合でも慌てることなく、船体シールや取扱い説明書等に記載されている事項のとおり、正しく復原させましょう。

転覆時の復原方法

画像提供:(一財)日本海洋レジャー安全・振興協会

  1. 転覆してしまった場合は、まず慌てずに水上オートバイに泳ぎ寄り、エンジンが停止していることを確認します。
    もし停止していなければ、緊急エンジン停止コードを抜くか、ストップボタンを押して確実に停止します。
  2. エンジン停止を確認したら、船尾側に泳ぎます。
    後方に貼られている引き起こしの方向を示すステッカーに従って、水上オートバイを回転させます。
    指示方向と反対に回すと、エンジン内部に水が入ってしまい、再始動できなくなるおそれがあるので注意しましょう。
    機種によっては方向を指定していないものもあるので、乗艇前に必ず確認しておきましょう。
  3. 船尾側から見て時計回り(右回り)に起こす場合は、左手でデッキ後部やポンプカバーをつかみます。
    次に、左足又は両足でガンネルに体重を掛けながら船体を押し下げましょう。
    船体が少し起きてきたら右手でスポンソン、続いて左手でガンネルをつかんで引き起こします。
    この際、ジェットインテークに手を掛けると、挟まれるおそれがありますので注意しましょう。
  4. 船体が回転し始めたら足を外し、復原する直前に艇体を突き放すようにします。
    水上オートバイの下敷きにならないように注意しましょう。
  • 体重の軽い人は、水上オートバイを揺らすようにして勢いをつけるのが効果的です。
    「へっぴり腰」の体勢で、デッキ後部やポンプカバーを引っ張るよう引き起こすなど、無理をせずに、体重を利用して復原させるようにしましょう。
  • 近年のモデルの中には、復原方向を指定していない(どちら側から復原しても良い)モデルもあります。

【復原方向を示すシール】

転覆時の復原方法に関連する事故事例

事故事例 ①

 事故者等は、旅行先で水上オートバイをレンタルの上、航行している途中、横波を受けて転覆した後、水上オートバイを復原することができずに航行不能に陥りました。海中転落した事故者は当庁ヘリコプターに救助されました。(転覆した水上オートバイは他の船舶で回収) 【事故原因】操船技能不足

事故事例 ②

 水上オートバイA(3名乗組み)は、定係地であるマリーナを出航し、目的地向け航行している途中、左旋回した際に横波を受けて転覆しました。乗船者3名で協力し、なんとか復原させたものの、船体が復原するまでに時間を要したため、船体内に海水が浸水して、後部から海中に沈み始め、半没状態となり、乗船者は近くにいたサーファーに救助されました。

事故を防止するためのポイント

 水上オートバイは転覆することを前提に設計されており、そのために人の力で復原することができます。水上オートバイが転覆した際は、復原方向を示すシール等を参考にして正しく復原させるようにしましょう。※転覆したままにしておくと、エンジンが水に浸かって再始動できなくなる恐れがあるので、出来るだけすみやかに復原するようにしましょう。