SWIMMING

   

身に危険が迫ったと感じたときの対処法

 泳いでいて不安を感じたときは、「助けてサイン」で周囲に知らせましょう。
 自力で陸地に向かうことが出来る場合は、自身の体力を考慮しつつ、落ち着いて近くの陸地に向かいましょう。
 自力で陸地に向かうことが困難な場合は、楽な姿勢で浮いて救助を待ちましょう。

  • 海では呼吸を確保することが、最も重要です。      
  • 呼吸を確保するためには、浮力を確保することが有効です。      
  • 海では体の約5%(淡水では約2%)しか浮きません。      
  • 浮力を確保するためにも、ライフジャケットを着用しましょう。
    

浮き方の例は、「身に危険が迫ったと感じたときの対処法 3 浮き方の例」で紹介しています。

    

1 「助けてサイン」で周囲に知らせよう

「助けてサイン」とは

  • 助けてサインとは、自身が困っている状態にあることを周囲の人(海水浴場にあってはライフセーバーや監視員等)に知らせるサインです。困っている人や溺れている人を発見し、助けを求める際にも使います。
  • 浮いていられる、足がつく状態であれば、片手を左右に大きく振る。ライフジャケットを身に着けている場合には、付属している笛を吹くことも有効です。
  • ライフジャケットなどの浮力体を身に着けていない場合で、浮いていることが精一杯の場合には、手を大きく振ると沈んでしまう可能性があります。浮力を確保するためにも、ライフジャケットを着用しましょう。
    

「助けてサイン」をするケース

  • 以下のようなトラブルや不安を感じた際には、助けてサインで周囲に困っていることを知らせましょう。       
    • 離岸流などに流されたと感じたとき
    • 防波堤等から落水し、陸上に戻れないと感じたとき
    • 足がつったとき
    • 寒さを感じたときや、震えが止まらないとき
    • クラゲなどの生物に刺されたとき
  • ※溺れている状態で助けてサインを行うことは、十分な浮力が確保できなくなるため危険です。     

2 「セルフレスキュー」を身に付けよう!

Point

ライフジャケットを着用しましょう。
楽な姿勢で浮いて救助を待ちましょう。

  • ●溺水を防止するためライフジャケットを予め着用しておきましょう。
     ➤ライフジャケットはサイズのあったものをベルトでしっかり締め、脱げないように事前に正しい着用方法を確認しておきましょう。
     ➤子どもは、股ひもの付いたものを着用しましょう。
  • ●様々な浮き方があるので、自身に適した浮き方を事前に確認しておきましょう。
  • ●浮くことにより呼吸ができ、落ち着いて周囲の状況が確認しやすくなり次の行動に繋がります。
  •     

    なぜセルフレスキューが必要なのか

    • 溺水のメカニズム
       ヒトの体の比重は、状態によって1より大きくなったり、小さくなったりします。平均で見れば吸気では0.98程度、呼気で1.03程度です。したがって空気を吸い込んでいれば真水に浮くし、吐けば沈むことになります。
       上半身には肺があるため比重が軽く、下半身は筋肉のために重くなっています。そのため気をつけの姿勢で水平に水面で浮こうとしても足が沈みます。しばらくすると垂直の姿勢になり、(a)のように空気を吸い込んでいれば体の98%が沈んで2%が水面上に出ます。
       (b)のように溺者が助けを呼ぶために手を挙げると、腕が水面上に出すことのできる2%を担ってしまうのでその分だけ体は沈みます。さらに(c)のように「助けて」と声を出せば肺の空気がなくなり比重は1を超えて、ますます沈みます。つまり溺者が静かに沈むというのは、体を垂直にして、手を挙げて、声を出して助けを呼ぼうとしたときに起こる現象なのです。      
    • 淡水では、肺に空気が入っている場合で体の約2%(海水では5%)しか浮きません。
      ➤海や川では、波や流れの影響によって十分に顔を水面上に出すことができず、呼吸が困難になる場合があるため注意が必要です。
      ➤十分な浮力がない場合に声を出したり、手を振って助けを呼ぼうとすると、溺れてしまうこともあります。
      ➤呼吸を確保するためにもセルフレスキューが必要です。

    (a)空気を吸っていると、頭の先端だけが水面に出る。
    (b)助けを求め手を挙げれば手だけが水面に出る。
    (c)空気を吐き出すと体は沈み始める。

    3 浮き方の例

         
           
    • 海は、波や風があるため顔を水面上に出すことが困難な場合があります。紹介している浮き方は、手足を動かすことで、姿勢の保持や呼吸の確保がしやすいものを例示しています。
    •  
    • 例示している浮き方以外にも様々な浮き方があるので、自身に適した浮き方を事前に確認し、楽な姿勢で浮いて救助を待ちましょう。
    •      
        

    ライフジャケットを着用した場合

         
          
     
        

    【クリックすると動画が再生されます】

     

    ライフジャケットを着用した状態で膝を抱え込み、体温の低下を防ぎながら浮く方法。
    波や風の影響で姿勢の保持が難しい場合には、手足を動かして姿勢の保持を行いましょう。

          

    仰向けの場合

         
     
          

    【クリックすると動画が再生されます】

    エレメンタリーバックストロークのように手足を動かして浮く方法。
    一方で、長時間手足を動かしていると体力を消耗するため、必要に応じて手足の動きを小さく又はゆっくり行い、体力を温存しましょう。
    仰向けの場合は顔に水がかかり、呼吸が困難になる危険があります。また、声を出したり、手を振って助けを呼んだりすることができない場合もあることを認識しましょう。

         

    上体を起こした場合

         

          

    【クリックすると動画が再生されます】

     

    顔を水面上に出した状態で平泳ぎのように手足を動かして浮く方法。
    一方で、長時間手足を動かしていると体力を消耗するため、必要に応じ、動きを止めて脱力し、体力を温存しましょう。

    ※顔を水につけることに抵抗がある場合は、手足の動きをゆっくり行い、体力を温存しましょう。
    【映像撮影時の条件】
    ・波や風を発生させることができるプール(淡水)で撮影
    ・服装は、ラッシュガード、水着、マリンシューズ
    ・ライフジャケットの浮力は約6㎏
    ・被写体は水泳の競技経験なし(学校教育のみ)

        
      

    参考:川の場合

         
  • ●川の水は塩分濃度の関係で比重が低く、海水に比べて人は浮きにくいなど、海とは環境が異なります。       
  • ●川には流れがあり、身体に水平方向の圧力がかかります。また、鉛直方向に引っ張られる流れが発生している場合もあり、 浮いていること自体が困難なフィールドです。
  • ●このような流れのある川において、そもそもライフジャケットを着ていなければ溺水のリスクが増大します。       
  • ●適正なライフジャケットを正しく着用することで、一定の流れの中でも、必要な浮力(頭部を水面より上に浮かせる)が得られます。また、呼吸と視界を確保しながら両手を用いて泳ぐことができます。
  • ●ライフジャケットを着用することで100%の水難事故を防げるわけではありません。流水が生み出す強力な力は時にライフジャケットの浮力を上回るため、水中に捕捉されるなどの危険事象となる場合があります。       
  • ●もし流された場合、速い流れの中でただ単に浮き続けるだけだと危険事象(ライフジャケットの浮力を上回る動水圧を受けて致命的な状況となる等)に遭遇することがあります。
  • ●その例として、たとえ足がつきそうな程の水位でも流れが速い場合はフットエントラップメントやボディエントラップメントなどの事象が発生する可能性があります。       
  • ●これらの危険事象に対しては、ライフジャケットで浮力を確保しつつ両膝及びつま先を水上に出す等の姿勢をとることが推奨されます。
  • ●その他の危険事象の例としては、アンダーカットや構造物などにより吸い込まれる、はりつく、循環流(リ・サーキュレーション)に巻き込まれる等があります。これらは、流れる水が生み出す強力な力による致命的なリスクとなるため、事前回避が前提です。
  • ●そのため、川ではライフジャケットを着用した上で、こうした危険事象への遭遇を事前に回避したり、流れの穏やかなポイントに向かって積極的に泳いだりするなどの対処を行う必要があります。