MOTORBOAT

メンテナンスについて

 モーターボートの海難は、機関故障によるものが最も多く発生しています。機関故障で航行不能に陥ると風浪や潮流に流され磯場へ乗揚げるなど、人命に関わる大きな事故に繋がるおそれがあります。機関故障に陥らないように、発航前検査を確実に実施するとともに、整備事業者等による定期的な点検整備を行うようにしましょう。

推進形式

画像提供:(一財)日本船舶職員養成協会

    

発航前検査の実施

  •  海上では陸上からの支援を受けることが容易ではありません。検査のミスが思いもよらぬ事故につながることもあるので、発航前の検査をおろそかにしてはいけません。検査にあたっては、その最終責任者は船長となる皆さん自身であることを十分に自覚し、必要最小限の事項は確実に検査しなければいけません。

    •  検査時に異常を発見した場合や機関に少しでも不具合が生じている場合は、無理に出港せず不具合箇所を特定し修復させた後に出港するようにしましょう。原因が特定できない場合や、自身で修復が困難な場合は整備事業者に修理を依頼しましょう。

      

    (1)船体の検査

     
  •  船体の検査では、船体の内外部に破損個所や水漏れがないか、異常なトリム(船首喫水と船尾喫水の差)やヒール(船体の左右の傾き)がないかを検査し、事故を未然に防止しましょう。

  • 船外機・船内外機共通

    【動画】発航前検査(船体編)(再生時間:5:03) 発航前検査(船体編)

    (2)機関の検査

  •  モーターボートの事故原因で、大半を占めるのが機関故障です。
    陸上で使用される自動車エンジンに比べ、厳しい状況で使用する船の機関の事故を防止するためには、発航前の検査が不可欠です。

  • 船外機

        

    【動画】発航前検査(機関編)(再生時間:5:47) 発航前検査(機関編)

    船内外機

       

    【動画】発航前検査(機関編)(再生時間:8:05) 発航前検査(機関編)

    (3)機関の始動・暖機運転、冷機運転、停止後の確認事項

  •  異常があった場合にすぐに異変に気付けるよう、普段から正常なエンジンの音や振動、排気色を確認しておきましょう。また、高速運転を続けた直後、急にエンジンを停止させると、急激な温度上昇によりエンジンの寿命が短くなってしまう場合がありますので、しっかり冷気運転も行いましょう。

    船外機

    【動画】機関の始動・暖機運転(再生時間:6:05) 機関の始動・暖機運転

       

    【動画】機関の冷機運転・停止後の確認事項(再生時間:4:04)機関の冷機運転・停止後の確認事項

    船内外機

        

    【動画】機関の始動・暖機運転(再生時間:5:15)機関の始動・暖機運転

    【動画】機関の冷機運転・停止後の確認事項(再生時間:2:30)機関の冷機運転・停止後の確認事項

       

    (4)法定備品の検査

  •  船舶は、その種類、大きさ、航行区域によって、船舶安全法で定められた備品を備え付けておかなければなりません。本サイトで紹介している法定備品については、沿海区域を航行とする一般船のうち、二時間限定沿海小型船舶の法定備品について紹介しています。自船が活動する区域によって備えなければならない装備品は変わりますので、必ず船舶検査証書で航行区域を確認しましょう。

    船外機・船内外機共通

    【動画】法定備品の検査(再生時間:5:11) 法定備品の検査

     

    主なメンテナンス実施箇所

    •  次に掲載している情報は点検の一般的な概要を記載しています。詳細な点検・交換部品の時間については各メーカーのホームぺージ、各製品の取扱説明書、保証書、整備手帳を必ず確認してください。

                                                                            
    船外機船内外機船内機
    燃料フィルタ
    エンジンオイル
    エンジンオイルフィルタ
    ギアオイル
    スパークプラグ ×
    バッテリー
    タイミングベルト
    パワートリム&チルト部 ×
    プロペラシャフト
    海水ポンプインペラ
    冷却水通路
    アノード/防食亜鉛
    エアフィルタ ×

    メンテナンスに関する参考資料


    海上保安庁: 機関故障防止対策用リーフレット
    国土交通省海事局: 小型船舶の注意事項
    運輸安全委員会: 船舶事故ハザードマッププレジャーボートの安全運航のために小型船舶機関故障検索システム
    日本小型船舶検査機構: メンテナンスガイド船内機 メンテナンスガイド船外機
    (一社)マリン事業協会: 発航前検査チェックリスト ボート共通取扱説明書プレジャーボートの安全運航のために
    (一社)日本舶用機関整備協会: 舶用機関のトラブル防止のための日常・定期点検整備
    ヤマハ発動機(株): 取扱説明書 メンテナンスガイド
    ヤンマー(株): エンジンのメンテナンス 初めてのボートライフ
    スズキ(株): 船外機取扱説明書 点検整備
    本田技研工業(株): 取扱説明書 サービス&サポートウェブサイト
    トーハツ(株): オーナーズマニュアル テクニカルサポート アクセサリー

    トラブルシューティング

    •  次に掲載しているトラブルシューティングは一例です。メーカー・機種によって異なりますので、詳細は取扱説明書を確認してください。

       


    機関故障を未然に防止するためのポイント

     掲載している点検箇所、方法、交換時間にあっては一例です。詳細な点検方法は搭載しているエンジンや船外機・船内機メーカーが作成した取扱説明書を確認しましょう。
     安全にボートを運航する上で、メンテナンスは必須です。発航前検査を徹底するとともに、整備事業者等による定期的な点検整備を行うことが重要です。